事業の趣旨・目的

日本医師会ORCA管理機構によると当校本社所在地である福山市の医療機関数は339施設で、中国地方では岡山市、広島市に次いで3番目の規模であり、医療に力を入れている市である。施設のうち小規模の組織である診療所は、規模の大きい病院等と比較して研修予算も職員数も少なく、人材育成に資本を投下しにくいため、経験年数のみで評価してしまい、組織を構成する上での基本技術が身についていないまま年数を重ねるケースもある。この体制では、個別・具体的な技能に偏った成長しか期待できない。  現在、診療所における電子カルテの普及も30%に近づき、電子カルテが一般的になるのに伴い、電子カルテを中心とした様々な「ITシステム連携」が活性化している。本事業では、生産年齢人口の減少による人手不足、人材不足を解消するため、医療事務に従事するプリセプター(原則として中堅期にあり、かつ新人と同職種の職員)に対し、IT等の基礎技術や医事会計ソフトの操作スキル、ホスピタリティ等を学び直し、医療現場に貢献できる医療スタッフを育成する教育プログラムを開発する。

学習ターゲット、目指すべき人材像

〇学習ターゲット

 医療事務に従事するプリセプター(原則として中堅期にあり、かつ新人と同職種の職員)

〇目指すべき人材像

 IT等の基礎技術や医事会計ソフトの操作スキル、ホスピタリティ等を学び直し、医療現場に貢献できる医療スタッフを育成する。

当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

◆プログラム開発の必要性

 少子超高齢化、人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少は、地方から急速に進んでいくわけで、このことに対してどのように地方専修学校等が対応していくか、ということはきわめて重要である。放っておけば医療業界全体が衰退していく中、医療事務に従事するプリセプターのリカレント教育プログラム開発は必要である。

※出典:総務省「国勢調査」(平成30年度統計)

◆医療業における人材育成の課題

 医療事務スタッフを育成するには、適切なロールモデルを示しながら、病院の理念から落とし込んだ目標や役割を理解させ、各スタッフに期待するスキルを習得させるように導くことが必要であるが、実際に人材育成の体制やツールを備えることが困難である場合や、また「人材を育てたいが、何をどうすれば良いのかわからない」と、なかなか具体化に着手できないケースも多い。そのような状況下、当事業の教育プログラムにより人材育成のロールモデルを策定し普及していくことは必要不可欠である。

◆医療業界の人手不足の現状

 医療業界は命にかかわる現場であるため、早期に人手不足の深刻化を防止する必要がある。厚生労働省:労働経済動向調査における産業別人材不足DIでは医療・福祉業界は運送・郵便業界に次いで2番目に人手不足が進行している。人手不足の主な理由として医師、患者、看護師等の人間関係による離職率が高いことがあげられる。離職率が高いと慢性的に人材が不足し労働条件が悪化し、人材育成面等に問題を抱え医療スタッフの離職率が高まり、人材も集まらないという悪循環に陥る。医療現場のIT化が進んでいる中、医療事務に従事するプリセプターに対するリカレント教育により、ITスキルはもちろん、ホスピタリティなど精神面でのケア技術を学ぶことで離職率改善に繋げるとともに、スキルアップを図り医療現場に貢献できる人材を適所に配置することでこの悪循環を断ち切る一歩となることを目指す。

◆医療事務スキルを活用できる人材の育成

 日本医師会ORCA管理機構によると当校本社所在地である福山市の医療機関数は339施設で、中国地方では岡山市、広島市に次いで3番目の規模であり、医療に力を入れている市である。日本医師会が提供する、日本の医療現場の為の医事会計ソフト「ORCA」は、福山市医師会に所属する医療機関の約53%(339機関中180機関)に導入されており、操作技術の習得が求められている。また、日本医師会は医療のIT化、医療情報の標準化を進めるために「ORCA」を開発、その1つの手段として、ネットワーク端末としても利用できるレセコンの開発に着手している。これからの医療事務において欠かすことが出来ない「ORCA」ソフトの操作技術も本事業のリカレント教育に入れ、プログラム開発を行う。

◆ITスキルを活用できる人材の育成

 自動化、IT化をして合理的な経営を目指していくという方針はこれから先、更に拡大していくことが予想される。内科では、電子カルテ(診療所向け電子カルテ・レセコン)と画像ファイリングシステム(画像関連システム)の連携が第一のポイントとなる。各医療機器(医療機器・医療材料)で撮影された画像の取り込みや、その画像をどのように電子カルテから参照、診断をするかなど新システムを生み出すためITスキルを活用できる人材が必要である。また、最近では在宅医療に取り組む医療機関も増えてきたことから、在宅医療の現場でカルテの閲覧や入力ができることも重要な選定要素となってきている。 在宅システム(看護・介護・在宅システム)をタブレット端末やクラウドコンピューティングを活用して積極的に利用できる人材育成も図る。


◆プログラム開発後の展望

大病院に比べて、小規模な診療所では業務が細分化されていない。

大病院では「診療部門」「看護部門」「事務部門」のように業務が分類されているため、医療事務職は自分の担当する部門だけ担当すれば良いが、診療所ではそのような業務の細分化がされておらず、総務部門も一体化することが多い。また、患者数を増やすためのサービスの向上に努めたり、経営の合理化に努めたり、診療所の運営にあたる業務など、医療事務職が本領を発揮できる機会が多く与えられる。医事に関する業務についての専門性はもちろん、総務や接客マナーなどオールマイティな能力が求められる。

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